【酒石酸】ワインの結晶・ノーベル賞の結晶

有機化合物

ワインを飲みほしたグラスに、キラキラ光る結晶が残っているのを見たことありませんか?

あの結晶の正体は何なのでしょう?

実は、化学の発展に多大な貢献をしてきたすごい物質なんです

結論

キラキラした結晶の正体は、酒石酸の塩

酒石酸は、光学分割やノーベル賞に関係した重要な有機化合物

酒石酸って?

左からL体、メソ体、D体

ブドウに多く含まれる有機化合物

2つの不斉炭素を持つので、3つの異性体が存在します

(不斉炭素って何?って方は、また説明します)

味は、わずかに渋味のある爽やかな酸味

食品添加物として承認されているので、市販もされています

光学分割と酒石酸

酒石酸は、ルイ・パスツールが世界で初めて光学分割した有機化合物として知られています

天然には、不斉炭素を持つ化合物が数多くあります

たんぱく質の元であるアミノ酸や、砂糖であるグルコースも不斉炭素を持つ有機化合物

L体、D体と区別されていますが、その物理的性質はほとんど一緒

唯一、偏光の向きが異なるだけです

そのため、L体とD体を分離することはとても困難でした

ルイ・パスツールは、酒石酸塩の結晶の形が、

L体とD体で異なることに注目し、一粒ずつより分けることで、これらを分離しました

これが世界で初めての光学分割の概念を作り出した研究です

酒石酸塩の結晶 左がD体、右がL体(Wikipediaより)

ノーベル賞と酒石酸

酒石酸を活用した研究でノーベル賞を受賞したのが、バリー・シャープレスです

シャープレスは、酒石酸誘導体を配位子として用いた不斉酸化反応を開発して、

ノーベル賞を受賞しました

香月・シャープレス不斉エポキシ化と呼ばれる反応です

これに加えて、シャープレス不斉ジヒドロキシ化が受賞理由です

ちなみに、シャープレスはこの受賞のほかに、

クリックケミストリーの成果で2度目のノーベル賞を受賞されています

おーけむ
おーけむ

すごすぎる…

実はすごい酒石酸

身近、意外なところで目にするキラキラ結晶の酒石酸には、

化学の発展の歴史が詰まっています

皆さんもワインを飲むときは、酒石酸に注目してみてください

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